空き家を活用した民泊施設

「こんなところにだれが泊まりに来るの?」とか「観光地でもないところで民泊なんて大丈夫?」
私たちが小山市で民泊施設をやると言ったとき、周囲の人達にはこのように言われました。
もちろん、善意から心配してくださったお言葉です(だと思っています笑)。

そんな心配をされつつ、
2019年から運営を始めた民泊施設『まなかのいえ』では、1年間で延べ宿泊者数は約600人となりました。

ちなみに、1年間『まなかのいえ』に宿泊した人達の中で、小山市に観光に来たと言う人はこれまで一人もいませんでした。
これは『観光のために近隣の施設に泊まる』という従来の宿泊業のあり方が、最近変化してきているためかもしれません。
最近の宿泊理由は様々です。友達とBBQやボードゲームを楽しむためだったり、ゆっくりと家族の時間を過ごすためだったり、仲間と新しいビジネスについて構想を練るためだったり…。そこに特別な観光地や豪華な宿泊施設は必要無いということでしょう。
『まなかのいえ』を選んでくださる方々にとって、ありのままの農村自体が既にアトラクションです。農村の空き家は、大規模なリフォームや特別な設備無しでも魅力的な民泊施設になり得るのです。

大学生、20代の若者に向けて

民泊施設を運営する上で最も大切なことは、「どんな人にどんな価値を提供できるか」だと考えています。
後に『まなかのいえ』となる空き家の活用を考えていた時、私たちはまだ20代でした。
40代の人がどんな生活をしているのか、子育て世代の人が何に価値を感じるのか、定年退職した人がどんな旅行を求めているのか…自分たちが経験していないことを本質的に理解することはできない。
さらに宿泊業が未経験であったこともあり、まずは「自分たちの経験から魅力的な施設をつくる」ということを考え、大学生や20代の若者に向けた施設として始めました。自分たちの経験から、「こんな宿泊施設があったらいいな」を考えると共に、近隣大学の大学生にも意見を聞き、改修や運営方針に役立てました。
結果として『まなかのいえ』は約8割の宿泊客が20代となり、若者に選ばれる施設となりました。

持続可能な空き家の活用

例えば、空き家を民泊施設に改修する際、
あれもこれもと機能をつけたり、特別なものを用意したりすると豪華な施設に生まれ変わりますが、その分の初期費用が高くなります。
すると費用を回収するためにおのずと宿泊費を高く設定する必要が出てきます。または、人件費を下げるか、、、
それで利用者が少なかったら潰れてしまいます。

私たちはなるべく空き家をそのままに利用することで初期費用を抑え、宿泊したい方々に安く提供できるようにしています。

また地域開発のために行われる空き家改修では、しばしば補助金を当てにした運営がなされることが多いですが、こうした運営方法ではいつの間にか補助金を使い切ることが目的となってしまい、無駄・不要な改修が行われることもあります。
私たちは補助金に頼る運営でなく自立した運営をしていくことで、空き家の利活用やそれに付随する様々な取り組みを、持続可能なものとして進めていくことができると考えています。

空き家活用の選択肢を広げたい

農村にある物件や、再建築不可の物件などは不動産業者に扱ってもらいにくく、買い手も借り手もつきにくいのが実情です。
そのため、空き家になっても活用ができず、空き家のまま放置されてしまうことも多々あります。
そんな方に、民泊も一つの選択肢として存在するということを伝えたい。
私たちがやっていることで、「自分もできるかも」と感じてもらいたいと思っています。